手根骨の月状骨脱臼

手根骨の月状骨脱臼

手根骨と月状骨について

 手首の付け根の骨は手根骨と呼びます。8個の小さな手根骨で構成されています。
これらの手根骨は2列に並んでおり,1列目は親指側から,舟状骨(しゅうじょうこつ)・月状骨(げつじょうこつ)・三角骨(さんかくこつ)・豆状骨(とうじょうこつ),2列目は,大菱形骨(だいりょうけいこつ)・小菱形骨(しょうりょうけいこつ)・有頭骨(ゆうとうこつ)・有鉤骨(ゆうこうこつ)と呼びます。
これらの手根骨はお互いに関節を作って接しており,複雑な靭帯で結合されています。
手根骨の脱臼は,月状骨の脱臼が圧倒的に多いです。月状骨周囲脱臼と呼びます。
手のひらをついて転倒した際に,月状骨が有頭骨と橈骨(とうこつ)の間に挟まれてはじき出されるように,手のひら側に転位・脱臼します。
月状骨周囲脱臼は,月状骨と橈骨の位置関係は正常ですので,しばしば見逃されるので注意が必要です。
月状骨脱臼は,月状骨周辺の橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ),舟状骨骨折を伴うこともあります。

月状骨脱臼の症状

 月状骨脱臼の主な症状は,疼痛,運動制限,圧痛,腫脹等です。
また,脱臼した月状骨が手根管に圧迫や突出したときは,手根管症候群を生じることがあります。

月状骨脱臼の治療方法

 徒手整復(としゅせいふく)が治療の中心ですが,整復できないケースは,再発予防・手根管症候群予防の必要から,手術を選択し,靭帯の縫合なども実施されています。
近年,手根不安定症の発症を防止する観点から,手根骨間の徒手整復経皮的ピンニング(=切開をしないで徒手で転位した手根骨を整復),皮膚の外からワイヤーで固定する方法,観血的靭帯縫合(=切開手術で転位した手根骨を整復)し,ワイヤーで固定,損傷した靭帯を縫合する方法等,様々な治療方法が実施されています。

月状骨脱臼における後遺障害について

① 月状骨脱臼は前述したように見逃されることが多い

 2方向のXPでは判断がつかず,主治医がCTやMRIの撮影を決断するほどの強い痛みの訴えがなされないことが,見逃される原因となっています。
ジクジクする痛みが軽減することなく続くのであれば,受傷2ヶ月以内に専門医の受診を受けることが大切です。

② 予想される後遺障害について

 月状骨脱臼では,手首の可動域制限(10級10号,12級6号)と,運動時の疼痛(12級13号ないし14級9号)の後遺障害が残る可能性があります。

  • 14級9号=局部に神経症状を残すもの
  • 12級13号=局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 12級6号=1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  • 10級10号=1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
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