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坐骨神経麻痺

 坐骨神経は大腿骨頭のすぐ後方を走行しており,股関節の挫滅的な後方脱臼骨折,仙骨の縦断骨折であれば,断裂する可能性があります。
 腰部脊柱管狭窄症,腰部椎間板ヘルニアに伴って発症することがありますが,ほとんどは,断裂ではなく,圧迫されたことによる絞扼性神経障害もしくは坐骨神経痛です。

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 坐骨神経は大腿の裏側と下腿の一部,そして足の裏の感覚を支配しています。
 坐骨神経麻痺では,ふくらはぎの裏側や足の裏の痺れや感覚の鈍麻,うずき,灼熱感,疼痛を発症し,膝や足の脱力感を訴え,歩行困難となります。
 断裂による重症例では足関節と足趾の自動運動が不能となり,腓骨神経麻痺と同じで下垂足を示し,膝の自動による屈曲運動ができなくなります。

 坐骨神経麻痺の傷病名が診断されてもほとんどは,坐骨神経の圧迫や絞扼を原因としており,時間をかけることで改善が果たせます。
 股関節の挫滅的な後方脱臼骨折,仙骨の縦断骨折に合併して完全断裂をしたときは,稀に深刻な後遺障害を残します。


坐骨神経麻痺における後遺障害のポイント

① 坐骨神経の完全麻痺について

 完全麻痺での後遺障害等級は,膝関節の屈曲が不能,足関節が下垂足を満たすと,膝関節と足関節の用を廃したものとして6級7号が認定されます。
 足趾の全ての用廃は,9級15号に該当するのですが,これが併合すると,併合5級となります。
 一下肢を足関節以上で失ったもの,5級5号にはおよばず序列調整され,6級相当となります。

② 立証のための必要な検査

□ 筋電図と神経伝達速度検査,針筋電図検査で神経麻痺を立証
□ ラセーグテストで30°以下の挙上,膝屈曲が不能
□ アキレス腱反射の減弱もしくは消失,足関節の底屈不能,足を内側に曲げる内反運動が不能
□ MRI検査

 交通事故受傷では,股関節の挫滅的な後方脱臼骨折,仙骨の縦断骨折に限定して断裂することが予想されます。
 股関節後方脱臼骨折や仙骨縦断骨折の傷病名がない場合,過剰反応は禁物です。

 腰部脊柱管狭窄症,腰部椎間板ヘルニアを原因として発症するものは,多くが坐骨神経痛です。
 坐骨神経痛であれば,時間はかかりますが,改善が得られます。
 したがって,後遺障害の対象にはなりません。

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