大腿骨々幹部骨折

大腿骨々幹部骨折

 大腿骨の中央部で,関節を有していない部位を大腿骨々幹部と呼びます。

 交通事故ではこの骨折が多発しています。
バイクを運転中に大腿部へ車の衝突を受けたときは,意外と簡単にポッキリと骨折します。
衝突の衝撃で空中に投げ出され,膝を地面に打ちつけて転倒したときは,捻れるように骨折します。
衝突の衝撃が相当に大きいときは,粉々に骨折します。
しかし大腿骨々幹部は比較的血行が保たれており,骨折後の骨癒合は良好です。

 症状は,骨折した部位の腫れや疼痛と変形により患肢が短縮し,歩行は不可能な状態です。
レントゲンの撮影で骨折の確認ができます。

 2000年頃は,直達牽引とギプス固定の保存療法が主体でした。

 現在ではほとんどの整形外科医は,直達牽引後のギプス固定では入院期間が長くなること,長期の固定による精神的・肉体的ストレスや筋萎縮,関節拘縮などの合併症を無視できないことから,入院期間を短縮し,合併症を最小限にする手術を積極的に採用しています。
小児の骨折であっても同様に手術が選択されております。

大腿骨々幹部骨折における後遺障害のポイント

 転位の少ない横骨折,斜骨折では後遺障害を残しません。

 問題となるのは,開放性粉砕骨折を代表とする高エネルギー損傷です。
開放性粉砕骨折では神経や血管障害・脂肪塞栓の合併損傷を伴うことが多く,受傷直後や急性期には,全身状態の管理が絶対に必要となります。

 開放性粉砕骨折では骨片が多数を占め,骨欠損があるものや整復した骨片の位置が正常な位置関係にないものがほとんどであり,偽関節・骨変形・不整癒合・MRSAの院内感染などが後遺障害の対象として予想されます。

 骨癒合は比較的予後が良好な骨折ですが,偽関節を起こすこともあります。
偽関節(仮関節)は骨折部の骨癒合が停止しており,異常可動性を示す状態です。
医学では一部の骨癒合不良でも偽関節と診断しますが,それは骨折部の周囲の全てで骨癒合が停止している状況であり,骨折部に異常可動性が認められるときに限って偽関節と認定するのです。大腿骨の偽関節であれば8級9号が認定されます。

 大腿骨が直線ではなく,変形して癒合する場合もあります。この変形が,15°以上の不正彎曲であれば,12級8号が認められます。

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