テニス肘(上腕骨外側上顆炎(がいそくじょうかえん)と上腕骨内側上顆炎 (ないそくじょうかえん))

弊所ではないのですが,過去に無料相談会に参加された被害者の方の診断書に、
左テニス肘と記載された方がいらっしゃったようです。

しかし、テニスの経験はなく、ラケットなど握ったこともないとの申告です。

受傷から3カ月の経過ですが、受傷直後から一貫して左肘外側部に疼痛があり、
雑巾を絞る、ドアノブを回す、ペットボトルのキャップを回すことが、
疼痛の増強でできないとの訴えがあったそうです。

 

持参されたMRIで、上腕骨外顆部に骨挫傷が認められました。
仕事はパソコン操作が中心の仕事です。

 

担当者は,上腕骨外顆部に、骨折の一歩手前、骨挫傷となる強い衝撃、
打撃を受けており、日常的かつ長時間のパソコン操作で、手指を酷使しており、
事故受傷をきっかけに、左上腕骨外側部に付着している筋肉に
微小な断裂や損傷をきたしたものではないか?という仮説を立てました。

そうであれば傷病名は、左上腕骨外側部骨挫傷、左上腕外側上顆炎となります。

 

当面の課題として、パソコンを使い過ぎないこと、
適度な休養と仕事の合間に手関節を曲げるストレッチと治療先でエルボーバンドを手に入れ、
装着されてはと提案しました。

それらの治療を3カ月続け、左肘部の疼痛は改善し、
日常生活に支障を感じることはなくなりました。

7カ月目に症状固定、外傷性頚部症候群による神経根症状で14級9号を獲得しました。

本来のテニス肘には、バックハンドストロークで肘の外側を傷める外側上顆炎と、
フォアハンドストロークで肘の内側を傷める内側上顆炎の2種類があります。

いずれも、ボールがラケットに当たる衝撃が、
手首を動かす筋肉の肘付着部に繰り返し加わることによって、微小断裂や損傷をきたし、
炎症を発生するものです。

 

前者では手首を背屈する筋肉がついている上腕骨外側上顆、
肘の外側のでっぱりに、後者では手首を掌屈する筋肉の付着部、
上腕骨内側上顆に発生するため、それぞれ上腕骨外側上顆炎、
上腕骨内側上顆炎ともいわれます。

 

テニス以外でも、包丁を握る調理師や手首を酷使する仕事で発症しています。

タイピストは死語となりましたが、長時間のPC操作の繰り返しによっても、
テニス肘は発症しています。

手首と肘の力を、繰り返し酷使することで、筋や腱の変性や骨膜の炎症が引き起こされるのです。
当然ながら、変性は、加齢によっても起こります。

 

症状は、手首を曲げる、回内・外の動作で、肘に痛みが走ります。
そして、雑巾を絞る、ドアノブを回す、ペットボトルのキャップを回すことが痛みで、
できなくなります。

 

抵抗を加えた状態で手首を背屈させるトムセンテスト、
肘と手指を伸ばし、中指を押さえる中指伸展テスト、
肘を伸ばし、椅子を持ち上げるチェアーテスト

これらの検査で、上腕骨外側・内側上顆部に痛みが誘発されます。
炎症所見は、MRI、エコー検査で確認することができます。

 

治療は、大多数が保存療法です。

局所を安静下におき、消炎鎮痛薬の内服や外用、
その後は、前腕や手関節を曲げるストレッチ、温熱、低周波、
レーザー光線などのリハビリ、エルボーバンドの装着などが行われています。

 

日常生活では、手のひらを下にしてモノを持ち、肘で動かすことは、
肘に負担がかかるのでNGです。

手のひらを上に向けて持つのはかまいません。

手のひらを後ろに向けるような持ち方も、肘に負担がかかるのでNGです。
テニス肘で、後遺障害を残すことは、常識的には考えられません。

 

上腕骨外側上顆炎と上腕骨内側上顆炎における後遺障害のポイント

 

①交通事故で多発している傷病名ではありません。
受傷直後から正しい保存療法が選択されれば、大多数は6カ月以内に改善が得られています。

②しかし、問題となるのは、「肉離れでしょう?」という診断で放置されたときです。
6カ月を経過しても、手首を曲げる、回内・外の動作で、肘部に疼痛があり、
そして、雑巾を絞る、ドアノブを回す、ペットボトルのキャップを回すことができないときは、
後遺障害を申請します。

炎症所見は、エコー検査で立証しますが、6カ月を経過しており陳旧性=古傷所見では、
エコー検査 発見できないことがあります。

多くは、骨挫傷を伴っており、そうなるとMRI検査が有用です。
立証できた炎症所見の大きさに影響されますが、肘の神経症状として、
14級9号、12級13号が認定されています。

 

③肘関節の機能障害で12級6号が認定されないのか?
個別に検討しなければなりませんが、立証された器質的損傷が炎症所見であれば、
追加的な治療で改善が得られるに違いない?と調査事務所は想定すると思われます。

であれば、神経症状として捉えるであろうと、先回りをして予想しています。

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