びまん性軸索損傷

びまん性軸索損傷

 びまん性軸索損傷では,相当深刻な後遺障害が予想されます。

 上のMRI画像をジックリと見てみてください。
頭頂部から頭蓋底に至る24枚のMRI画像の内の6枚目に映し出されたものです。
前頭葉,両側頭葉に点在する黒点は,びまん性軸索損傷を現しており,脳表面の広範囲に広がる点状出血です。
これは症状固定段階で,主治医にMRI T2スターの撮影を依頼し,画像立証できたものです。

 この画像をONISで加工し,点状出血を矢印で示したものが下の画像です。

 頭部に回転性の外力が加わると脳の神経細胞の線維,つまり軸索が広範囲に断裂し,機能を失うと考えられています。
びまん性軸索損傷の存在そのものが,高次脳機能障害なのです。

 頭部外傷といえば,脳挫傷,急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血を連想します。
これらも重傷ですが,局所性脳損傷では挫滅した部分の脳の機能が失われるだけであり,重篤な後遺障害,認知障害を残すことは,実は少ないのです。

 上記画像の被害者は,フルフェイスのヘルメットを装用しており,頭蓋骨骨折,脳挫傷はありませんでした。
しかし,上記の画像で認められる広範囲の点状出血に伴う軸索の損傷があり,遂行機能障害,失語,記憶喪失,聴覚や嗅覚,言語理解,認知の領域で,脳は大部分の機能を喪失しており,3級3号が認定されました。
びまん性軸索損傷では,受傷直後から意識を喪失しています。
脳神経外科の臨床では頭部外傷のうち,受傷直後から6時間を超える意識消失が認められるときは,びまん性軸索損傷と定義,診断がなされています。
脳の表面に大きく広がる点状出血は,CTやMRIで捉えられないことが多く,通常は明らかな脳組織の挫滅,脳挫傷や血腫が認められないものの,意識喪失の原因を脳の細胞レベルの損傷が広範囲に生じたためと推定して診断しているのです。 .
頭部MRIのDWI,SWIの撮影方法であれば,神経細胞の軸索の断裂に伴う微小な出血や浮腫(=むくみ)が確認できるのですが,受傷後3日以内の早期の撮影に限られます。

 受傷から3日以内に交通事故相談がなされることは,通常はありません。
CTの精度では,異常が認められないことがほとんどです。
この場合でも損保料率機構調査事務所は,等級の認定では画像所見を求めているのです。
症状固定段階のMRI T2スターの撮影で立証しなければなりません。 ここは,しっかりと記憶しておいてください。

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